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10.記憶以前(4) 

”夢遊”と”二重意識”
・・・・引き続き西洋社会におけるトランス。”多重人格”に先行する「症状言語」。


「症状言語」

アダム・クラプトリー『多重人』

「交代意識(≒多重人格)というパラダイムが現れるまでは、他人の意識が入り込むという内面的経験を表現する唯一のカテゴリーは、憑依、つまり外界からの侵入というものだけだった。人間の心に固有な第二意識の自覚が高まるにつれて、新しい症状言語が可能になった。」


イアン・ハッキング(著者)

「多重人格の先駆的な存在を表す、二つの症状言語があった。一つは、主にヨーロッパ大陸で使われた、自然発生的夢遊という言語で、人工夢遊と強く結びついた言語である。もう一つの症状言語は、主にイギリスとアメリカで使われた、二重意識という言語であり、主に、動物磁気および催眠術と区別されていた。」


「二重意識の症状言語が、記憶の問題をほとんど念頭においていないという点は、特に重要である。」
「この点を強調することで、私は、多重人格に熱狂的な人々が、あらゆる例を混同する傾向に歯止めをかけたいと思う。結局のところ、いろいろな事例というものは、まったく異なる社会的、医学的伝統の中で起きたことなのである。だから、それらは名称が異なるだけでなく、関連するさまざまな党派(観察者、記者、読者、社会階級、苦しんでいる人々自身)にとっての意味も異なるのである。」


”夢遊”

「深い眠りに落ちるが、あたかもはっきり覚醒しているかのように歩き、話し、書くなどさまざまな行動をとり、ときには普段より知的で的確な様子を示す」(ディドロ『百科全書』(1795?66))


「一八七五年以降、最も有名なフランスの多重人格者フェリーダの主治医となったウェザーム・アザムは、彼女の第二状態が『完全な夢遊』であると記述している。(中略)アザムは、この交代人格と夢遊現象を同一視した。」


「催眠状態は誘発された夢遊、もしくは人工的夢遊と呼ばれ、自然夢遊と対比された。」


”二重意識”

「『二重意識』という名称そのものが、含蓄に富んだ言葉である。」
「二重というからには数は二で、二を越える交代人格は予想されない」


「『意識』という受動的な言葉が使われたことの、影響力はもっと強い。作用と反作用を示唆するものも_ければ、完全な人格についての暗示もない。」
「初めて彼女(メアリー・レイノルズ。19世紀イギリスの代表的な多重人格者)のことを簡単に説明した文章には、『二重意識または同一人物の中にいる個人の二重性』という題がついていたのだが、この『個人の二重性』という表現は人気が出なかった」
(アト注”人格=個人”ではなく、”意識(機能)”の二重性だと認識された。)


「現在は、男性多重人格者と多重人格の子供への調査がようやく始まったところだが、古い時代には、これらは大した問題ではなく、男性が二重意識だと報告されるのは別に珍しいことではない。」
「一般に、若い女性は正常な状態なら、実行すれば必ず罰を受ける羽目になるような、反抗的な生き方を実演する為に、暗黙のうちに交代したと、マイケル・ケニーは主張している。二重意識の持つこのような側面は、女性に限られたことではない。」


「これらの文章の著者は、忘却の言語をごく当たり前のように使っている。しかし、彼らには、これが重要であるという認識はなく、(中略)二重意識の症状言語においては、記憶はほとんど問題にはならない。」
「これには、はっきりした証拠がある。引用文の著者を含め、医師たちは、患者の女性が正常な状態のときに何が起きたかを思い出せないといっている。しかし、その女性が異常な状態の時に、正常な状態のことについて知っているかどうかを、彼らは調べていない。」



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