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『雪山飛狐』総評(2) 

(1)より。


『飛狐外伝』との関係

周知の通り、後に『飛狐外伝』においてこの『雪山飛狐』の言わば”前日談”が語られることになります。
「胡一刀と苗人鳳」の関係も含めて、飛狐シリーズの内容的なことについてはそちらの方で一緒に語ろうかと思ってますがそれはともかく。

なぜ明らかに駆け足の不十分な記述でありながら、(ラストを除けば)『雪山飛狐』の描写にそれなりの説得力が感じられるのか。それは、実は『雪山飛狐』の背後に既に『飛狐外伝』が存在していたからではないかと。
よく「書かないところまでちゃんと考えてから書け」(それによって厚味やリアリティが生まれる)と言いますが、その通り、金庸先生はちゃんと考えてあって、それであの程度の記述でも説得力が生まれたんですね、いやあさすが。

・・・・ではなくて(笑)。いや、そうなんですけど。
つまりですね、僕が思うに『飛狐』ストーリーは、最初から『雪山』と『外伝』両方を含めた、ひょっとしたらそれ以上の広がりを持ってまとめて構想されていたのではないかと。だから本来ならそういうものとして四巻ものなり何なりの規模でちゃんと展開されるはずが、諸般の事情で一巻分のスペースしか取れずに、それで無理矢理書く為の方便or動機付けとして”嵐の山荘”ミステリーという趣向に手を出したというそんな感じなのではないかと。


『射英雄伝』のとばっちり?

そこで冒頭に予告した「仮説」ですが。
次作ご存知『射英雄伝』は、スケール的にも完成度的にも、前3作と比べて頭一つ二つ抜けた押しも押されぬいきなりの「決定版」的な作品になります。技術的内容的には、何回も言っているようにそれまでの作品にも既に最初から十分なものはあったわけですが、何というか製作ベースが違うというかプロダクションが違うというか代わったというか、そんな感じ。気合が違う。

言わば書かれる前から代表作たることを運命付けられていたエリートで、だから尚更その前の『雪山』が味噌っかすに見えてしまう(笑)というか無い方が流れ的にすっきりするというか。”嵐の山荘”云々が技法的にその後に影響を与えたようにも見えないし、起・承・転・結の「転」にすらなっていない。

で、実際味噌っかすだったんではないかと。
つまりどういうことかと言うと、『飛狐』の構想と差のない時期に『射』の構想も出来上がっていて、こりゃ凄いということで(新聞の)連載開始時期も優先的に決まってしまって、それまでの場繋ぎとしての限られたスペースで『雪山飛狐』は書かれたのではないかと。それでバタバタと圧縮して書かれたのがあれで、でも内容的には十分面白いのでこれはこれでちゃんと世に出してやろうということで、後に書かれた”残り”の部分が『飛狐外伝』。

どうでしょう、この説。勿論何ら確証はありませんが。(笑)
よくよく見てみるとあの鬼の『神』の次作が今更『外伝』というのもどうも肩透かしですし、しかもそのすぐ後に『倚天』が来るわけですから、要するに『射』三部作の谷間に便利遣いされた幸薄い作品だと、そうまとめて『飛狐』ストーリーは考えていいのかもしれないですね。面白いのに。かわいそう。


・・・・なんか意外と当たり前のことを書いたような気もしてきました。(笑)
まあ今回はこんなところで。さくさくと次の”エリート”様の方へ行きましょう。
注目度が高いだろう”ラスト”問題は、面倒なので『外伝』レビューに先送り。実はまだ何も考えてません(笑)。分かんないよあんなの。まあなんかひねり出すつもりですが。


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コメント

突き抜けてる、か

言い得て妙ですね。確かに僕は意図的に”怖いもの知らず”の状態を作って書くところがありますから。
要は全体のコーディネートだと思うんですよ、直観や想像と、論理やリサーチとの兼ね合いというのは。それぞれの資質と文章の目的・性格に合わせて、最も総合点が高くなるようにすればいい。

にしても
>三部作は、もしかしたら最初にまとめて構想した上で三つに分けたのかもしれません
のあたりは結構重要なポイントですよね。今猛烈な勢いで予定稿との辻褄合わせが脳内で行われております。(笑)
まあ何とかなるでしょう。

つかjinyuさんの言葉の選び方も、結構この前からハマりまくっていて密かにドキドキしております。どれとかは教えませんが。(笑)
怖いなあもう。

参考になるかどうかは分かりませんが。

う~ん、やっぱりこちらの考察は突き抜けてて面白いです(褒めてるんですよ!)何が凄いって、管理人さんは原作のみを資料にこれを書いてらっしゃるんですよね。鋭すぎます。

参考になるかどうかは分かりませんが、神雕のラストを書くと同時に金庸は、イテンの最初の部分を連載してたそうですよ。(ちなみに初稿の張無忌は、楊過に性格がそっくりだったりします)
だから三部作は、もしかしたら最初にまとめて構想した上で三つに分けたのかもしれませんね。。。
そして仰るとおり、その合間に飛狐をちょこちょこ書いたとか。

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