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こってり中華 

満漢全席

金庸基礎知識編のラスト。
”満漢全席小説”なんて形容をしている人がいましたが、ボリュームたっぷりゴージャスなのは確かなんですが、さりとてそれほど真っ向から”高級品”という感じでもなく、むしろざっくりかき込める気安い感じが素敵な(笑)金庸先生の魅力を具体的に紹介。


やけくそのように獰猛な娯楽性

一言で言えばこれですが。
教養がどうだ、歴史観がどうだとかは、読んでる時はてんで関係ありません。僕もこと小説に関してはほとんどエンターテイメント系一本の快楽主義的な人ですが、少なくとも日本人のものでこんな下品な(褒めてるんです・笑)のは読んだことありません。

パッと見てすぐ思ったのは、「これマンガやん」ということでした。勿論幼稚だとか下らないということではなく、日本の漫画家が日々編集者から受けている、恐らく小説家のそれとは比べ物にならない苛酷な『面白さ』の要求水準のプレッシャーを、社主でもあるはずの(笑)金庸先生は当たり前のものとして引き受けて実現しているということです。
これには日中の出版事情/歴史/文化の違いが大きく関係しているのだろうと思いますが(それについては各論で)、ともかく”小説”という媒体でここまでマンガ並みの問答無用の面白さ・娯楽性が実現できるというのは、こうして実例を見せてもらうまで思いもよりませんでした。

具体的には
 1.会話/セリフの漫才ばりのトリッキーで攻撃的なユーモア。
(一方で状況・心情説明は照れ臭いくらいに平明)
 2.格闘シーンを筆頭とする、描写&シーンの構成の幾何学的or音楽的なまでの緻密さ、構築性。(しかしテンポはあくまで迅速軽快)
 3.見せ場見せ場また見せ場。「緩急」は見せ場どうしのコントラストでつける。
 4.「ふざけんなよ!」と跳ね起きてしばしば読書を中断せざるを得ない(笑)、馬鹿馬鹿しく意外なストーリー展開。

1.ダイアローグ→2.シーン→3.シークエンス(エピソード)→4.ストーリーと構成要素として小さい順に挙げてみましたが、これは偶然ではなくて基本的に小さい方から大きい方へ、「部分の総和(+α)が全体となる」式の発想で作られているタイプの小説だと思います。
勿論エンターテイメント・ストーリーの基本としての必要十分な「ミステリー」性は踏んでいますが、一部の作品を除いて(後述)いわゆる日本でメジャーな「ミステリー」的な”構成美”のようなものはほとんど意識されていません。”全体”の見映えに”部分”を従属させたりはしないというか、完成度の為の完成度には興味が無いというか。そこらへんが大部ではあっても気楽に読めるところで。いつでも見たまんまを楽しめる。

一つには「毎日連載の新聞小説」という形態によるでしょうが、根本的には作家としての金庸の体質、または小説というものに対する考え方によっているように思えます。(多分後述)


”名物”修行エピソード参考

『ドラゴンボール』にもかの「カリン塔」や「界王星」などでの印象的な修行エピソードが数々ありますが、それでも「強くなりたい悟空(たち)が師匠にお願いして修行をつけてもらう」(または自分でする)という基本は不動なはずです。しかし金庸の悪戯心はその基本さえにも捻りを利かせます。

つまり
 ・本人は修行してるつもりがなかったり、
 ・師匠は修行をつけてるつもりがなかったり、
あまつさえ
 ・本人は強くなりたいとは毛ほども思ってなかったり
という根本的な欠落がありながら、なぜか気が付いてみると独創的な天下無敵の武術を身につけているという、これがむしろスタンダード。その過程の描写が凄い。

まあしかし毎度次から次へと呆れるほどけったいな修行プロセスとけったいな武術を考え付くものだと感心しますが、それらが少なくとも作品内では結構な完成度の論理性を持っているのでつい説得されそうになります。よい子はマネしないようにねという感じです。(笑)
特に言及はされてませんが、恐らくこの部分には作者の相当の情熱が込められているのではないかと思います。考えるの楽しくて仕方がないんじゃないでしょうかねえ。読んでる方は尚更。読み慣れると来た来たという感じです。(笑)

・・・・もう一つ、というより最大の名物であり売りである”格闘/武術シーン”については、書きたいことが沢山あり過ぎるので各論で。これ以上漠然と面白さを説明していても仕方がない気がしますので、ここらで切り上げて次からはいよいよ作品レビューへ。


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